公務員を辞めたいのは甘い考え?退職を経験して考えること【勤続年数16年が語る】
この記事を読んでいるということは、あなたはきっと公務員であることに悩まれているのだと思います。
思いはきっといろいろありますよね。
毎朝職場に行くのがしんどい、やりがいが見いだせない、あまりに公務員じみた同僚とする会話が辛い、このまま老人になるまで意味のない仕事を続けるのだろうか…?
など。
私も公務員として16年間勤務し、ある部分に限界が来て辞めました。
だから、きっとあなたが悩まれていることのいくらかは共感をもってわかります。
そしてご自身こそがご自身を責められているであろうこともお察しします。
「公務員を辞めるなんて甘えたことを考えているようではやっていけない」と。
公務員は世間的にはうらやましがられる存在です。
そんな公務員を辞めるとなると、いろいろな人がいろいろなことを言います。
しかし公務員を辞めることは決して甘えなんかではありません。
たしかに公務員は恵まれた環境であることは事実。
しかし人生は一度きりであり、どう生きたいかは本人の決めることです。
また客観的な事実として、とくに若年層の公務員の転職、退職は多いということがあります。
私自身、公務員を辞めたことに対して様々な言葉をもらいましたが、今思うのは「すべては本人次第」ということ。
やるもやらないも、できるもできないもあなた次第だということは強くお伝えしたいと思います。
いま公務員を辞めたいと悩まれている方は、この記事をぜひ一つの意見として参考にしてください。
公務員を辞めることは甘い考えという言説
公務員を辞めたいと口にしたときに必ず言われるのが「考えが甘い」という言葉。
おもに親世代の、年配の方から言われることが多いのではないでしょうか。
それはおそらく次のような認識から来ているのだと思われます。
[box05 title="公務員が恵まれている点"]
- 終身雇用、年功序列による昇給が維持されている
- リストラがなく安定している
- 手厚い福利厚生
- 民間に比べて充実した退職金
- 社会的信用が高い
[/box05]
そしてまた同時に言われるのが次のようなことではないでしょうか。
[box04 title="公務員を辞めない方がいい理由"]
- 公務員はスキルがないから辞めても転職できない
- 40歳から給料が上がるからそれまでは我慢
[/box04]
はたしてそれは本当でしょうか?
本当に公務員は恵まれているのか
たしかに民間企業に比べると恵まれた条件であることは事実でしょう。
民間企業ではいまや終身雇用は死語です。
スキルを磨いて自分の価値を高め、それをもとに転職をしてさらに自分の価値を上げていく。
そういった動きを絶えず意識していかなければあっという間に居場所がなくなってしまうのが今の民間です。
競争原理が絶えず働く世界とは隔絶された空気感がいまだに公務員の世界には残っています。
また比較的自由に休暇を使えるのも民間ではありえないこと。
さらに社会的信用の高さは住宅ローンを組むときに実感せざるをえないはずです。
公務員に感じられない未来の姿
しかし、時代は変わりつつあります。
行政改革が続く中で現場の人員は削減され、業務はブラック化の一途。
心身を病んで休職する職員は増え、欠員が状態化している職場はいまや当たり前です。
その一方で採用制度は旧態依然のまま。正規採用は相変わらず次の4月を待たねばならず、人員の補充もままなりません。
また俸給表も年々地盤沈下を続け、年数を重ねても給料は上がっていかないなんてことも、ザラに起こっています。
年々縮小されていく退職金、民間と一本化されていく年金、次々にカットされていく福利厚生と、現役の公務員世代には暗い話題ばかりです。
公務員を取り巻く状況は、客観的に見ても未来が開けているようには見えません。
「ここにしがみついていさえすれば何とかなる」と思えなくなりつつある、魅力のない身分ではないでしょうか。
公務員を辞める人は意外に多い
終身雇用の象徴のようなイメージの公務員ですが、私が知っている限りでも、意外に辞める人は多いです。
たとえば飲食店を始められた方や、若くしてシンクタンクに転職された方、また難関試験に合格して士業を始められた方も知っています。
とくに最近は若い職員の退職の判断が早い印象があります。
これは私はとてもよいことだと思っています。
ダメだと思ったら早く行動すべきで、次があるのならそれに越したことはありません。
早めに見切りをつけて次に行く。
そして次があるのなら、それは能力のある証拠。
残念ながら、庁内では「公務員を辞めるなんてバカな奴」という見方の人間がいまだに多数でしょうが…。
公務員を辞める前に必ず次を探すべき
ただし一点だけ注意しておきたいことは、辞めるのであれば必ず次のあてを見つけてから行動に移す、ということ。
公務員を辞めることは簡単です。
またネットを見ても、影響力の強い一部の方の「仕事を辞めたければすぐに辞めるべき」という言葉がつい目に入ってきたりします。
しかしすべての言説は前提が異なっています。
ある人間にとって正しいこと、OKなことが、他の人間にそのまま当てはまるかはわかりません。
もっとも怖いのは追い詰められて客観性を失うこと
スキルのある人間は「仕事を辞めてもどうになかる」かもしれませんが、ただ公務員として数年過ごした人が同じように行動しても失敗してしまいます。
必要なことはまずは自分を客観的に判断することです。
とくに切羽詰まった状況になればなるほど、客観性は失われてしまいがちです。
そのような状況に陥る前に、自分をコントロールしましょう。
公務員はまだ余裕を確保できる世界です。
最近ではブラックな職場が増えているものの、自分一人の行動が遮られないという点では、まだまだどうにかなるでしょう。
追い詰められてしまう前に、確保した時間を行動に移していくことが大切です。
今はまだどうにかなっているからこそ、今から行動しておくのです。
知っておくべきことは「民間」としての自分の市場価値
できることは行動です。
そして自分を救うことができるのは、行動だけだとも言えます。
まずは自分の人生の優先事項を整理すること。
そして次に行うべきは自分の市場価値を知ることです。
転職エージェントは民間だけのものではありません。
とくに公務員試験が難化した時期に公務員になった方は基礎的な能力が高いことが多いでしょう。
ご自身の市場価値をまず客観的に判断し、それが思ったものと仮に違ったものであれば、それを埋め合わせるための行動こそ次に取るべきなのです。
決断以外の行動であれば一番ベストな瞬間はまさに今
繰り返しますが、これらができるのは心身の余裕があってこそ。
今この文章をあなたが読んでいるのだとすると、まさに今が行動すべきときなのです。
一般的に転職を行う際は、転職エージェントを活用します。
先ほども申し上げたように、これまでは民間同士の転職が一般的でしたが、最近では公務員を辞める方も増えています。
登録は無料でできますのでぜひエントリーしてみてください。
エージェントに登録しただけでも、一歩を踏み出せたという自信につながるはずです。
最後に:自分の生き方を取り戻せるチャンスはそう多くない
最後に蛇足かもしれませんが、私のことを書いてみます。
私はいわゆる氷河期世代と呼ばれる年代で、「就職氷河期」の言葉のとおり、非常に就職難だった世代の人間です。
四年制の難関大学を卒業したとしても、正規社員として採用されたのは卒業生のおよそ半分くらい。
私も公務員になりたいという強い思いがあったわけではなく、半ば沈みかけていたところを漂流物にしがみつくように公務員になりました。
まさに命拾いしたわけで、あそこで公務員試験に受かってなかったらまったく違った人生になっていたでしょう。
いま見えるチャンスが明日もあるかは約束されてない
人はつい人生の多くを自分の能力の結果として考えがちですが、就職し仕事に就くことの背景には、とても大きな運の要素があります。
あなたが社会人として世に出て行こうとするその準備のときに、世の中がどうであるかはあなたの努力とは何の関係もありません。
私と同じように不景気で思い通りにならず、しょうがなく公務員になった人もいるでしょう。
そういった方々の「合わない」という苦しみはよくわかります。そして職を失うことへの恐怖心があることもよくわかるのです。
しかしその時々の世相によって思いがままならなくなることは、転職や離職の場面においてもありえることです。
転職しようにも不景気で身動きが取れないないということも、その時々でありえるのです。
行動こそが自分を導く
また人のライフステージの変化は思いのほか早く進んでいきます。
もしあなたが結婚したなら相手に対する責任が生じますし、転職活動もすべてが自分本位には進められないかもしれません。
家族が増えたりしたならなおさらです。
時間が経てば経つほど身動きは取りにくくなり、つかむべきチャンスは一瞬にして通り過ぎていきます。
判断は難しいですし、私も無差別に離職を進めることはできません。
しかしあなたが今できることとして、この瞬間に決断はできなくても、来たるべき瞬間に対する準備はできます。
その積み重ねが将来の決断の精神的な支えにもなるはずです。
今日からできることを考えていきましょう。